クルマの未来は?
今回は、ちょっと車世界の未来について考えて見ようと思う。それというのも、最近お客様から、「やがて車はすべて電気自動車になる?」と聞かれることが多いからである。当然その質問には、いつも「そんなことにはなないよ」と答えるのであるが、、、、、、。
まず、学生時代に習ったと思うが、世界全体の発電は、石炭が約40%、石油と天然ガスを合わせて約25%、原子力が約10%ぐらい。その他が太陽光や風力発電などの発電となる。つまり全現在作られている電気の多くは、一般的にクリーンだと認識されない発電方法によって生み出されているということになる。 そして電気は貯蓄しにくいということもポイントである。例えば、真夏の午後にクーラーの使用量がピークになると、電力供給が追いつかないので電気使用量を控えてほしいというお知らせを聞く事がある。突発的に電気使用量が逼迫するのなら仕方ないのだが、真夏の午後に電力需要が増えるであろうことは、前もって分かっていること。でもできないのは、日常使用している電力量に対応するほどの巨大な蓄電池を準備できないからである。ようするに発電所から送電網を通じて供給される「電力システム」は、「発電したばかりのフレッシュな電力を(搾りたての牛乳のように)そのまま需要先に届ける」体制にならざるを得ないのである。それに比べると石油の備蓄は、タンクを使って、総需要の半年とか可能である。世界を動かす電気であるから、需要に合わせて柔軟に対応できなければほとんど意味をなさない。太陽が照っている時だけの太陽光発電や風が吹かなければ動かない風力発電など、全体の電力供給システムから考えればあんま意味のないもののように思えるのだが、、、。
電気自動車のエネルギー源は電池、よく聞くのがリチウムイオン電池である(世界で初めて実用化したのはソニー!!)そもそも使用目的は、パソコンや携帯などのモバイル機器の電源である。小さなモノを動かす為のもので、車のような重量の自動車を動かす強大なパワーのためのものではなかった。現在テスラなどの自動車の性能向上は、電池の性能アップによるものではなく、たくさんの電池を車体に詰め込んだ結果と考えてよいだろう。
よく考えれば想像できたが、一時期の太陽光発電ブームが去って、廃棄すべきパネルの処分に困っ
ている事例を見かける。そもそも、太陽光パネルの製造には製造装置を動かしたり運搬したりするためのエネルギーとしてだけではなく、プラスチック部品などの原料としての化石燃料も必要不可欠だ。さらに、太陽光パネルの部品には環境に悪影響を与える物質も多く含まれているので、そのまま放置するわけにもいかない。電池にも同じことが言える。すべての自動車に電池を搭載したとして、寿命が尽きた後、有害物質を多く含んだ膨大な電池の処分が待っている。ガソリンエンジンであれば、車体と一緒にスクラップにして鉄くずとしてリサイクルすることができる。電池の場合はそうはいかない。
2020年に京都大学、広島大学らの研究グループが、将来の電気自動車の導入とそれによる二酸化炭素排出量削減の効果を発表した。その結果、電気自動車の導入により、エネルギー消費量は減少するが、発電システムが火力発電に依存する現状のままでは将来の二酸化炭素排出量はほとんど変わらず、全体としては正味で増加してしまうことがわかったのである。さらに、仮に発電システムに再生可能エネルギーを大規模に導入したと仮定しても、2割程度の二酸化炭素削減にとどまるということである。そもそも、再生可能エネルギーの大量投入は、前述の理由から極めて非現実的である。
そもそも、エネルギーはその姿を変えるたびにロスがでる。石油は石油のままエネルギーに変えた方が良いに違いなく、エンジンの効率をさらに向上させる努力をすることが大切だと思う。飯を食って、息をして、エネルギーを得て活動する我々であるが、車も同じく、燃料を、酸素で燃やして動くという点では同じである。僕としては、振動して、音がして、匂いがして、それを感じながら走る車がやはり好きだと思った。
、